「窓」
2022年5月19日に改めて考える事。

「扉」と同時に制作した作品。
地元川口の隣町、鳩ヶ谷で撮影した。鳩ヶ谷と川口は別々の街だった。鳩ヶ谷に行くためには122号線まで出てから芝川を越えなきゃいけない。
殆どいったことも無い知らない街だ。小さい街だと言われてた。
2010年前後のいつだったか、鳩ヶ谷は川口に吸収された。

白い壁に並んでいるのは写真で、撮影されているのは、
一晩歩き回った鳩ヶ谷の知らない人が住むの家の窓。

撮られた窓を再度また窓として、大学内の大きな吹き抜けの空間を四方を覆い尽くすように再構成した。
その際、新宿NSビルをイメージしていたのを覚えている。
NSビルは地下道から直結で内部に入ることができる。新宿の地下道、電車を降りて歩くと大きなチューブの中を移動し続けている様に外界がない。
ビル内側はくり抜かれて天井まで吹き抜けて見上げられる筒型のビルで、地下道から続くチューブのキャップか先端の様でもある。
震災後の地下道は一部浸水しており立入禁止のエリアがあった。照明も無く、立入禁止の立札の向こうにホームレスがいた。
NSビルの地下入口はその立入禁止区域の脇の暗がりの先にあり、今思えば隔たりの内外について韻を踏み続けている様な空間だった。
俺はあのビルが好きでよく、お勧めの場所だよ!って人に言うんだけど、
「ビルの外側が内側にひっくり返ったみたいなビル」って説明していた。


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